他子ども会の創意工夫事例

会員6名の単子発信の行事が、118名参加の大規模行事に!【名東区/西山学区】

名古屋市でも最大級の約1100名の児童を擁する西山学区も、他地区と同様に子ども会の会員数減少に直面しています。そんな中、会員6名の単子から発信された行事が、口コミだけで118名が参加する一大行事に発展。一体に何が、子ども達の心をとらえたのか?企画から運営までどんなコツがあったのか?神丘子ども会会長の藤野さんと西山学区子ども会会長の戸田さんにお話を伺いました。

【活動内容の工夫】
よいアイデアは関係者全員で育てる(下記1)
「楽しい」だけでなく「安全」は絶対死守(下記3)
【保護者の負担軽減】
学区との連携で、単子では不可能なことも実現(下記2)
【保護者のメリット】
「やってよかった」があってこその子ども会行事(下記4)


1.単子の前会長→単子の現会長→学区会長―――受け継がれたバトンがどんどんパワーアップ

「水鉄砲大会」の概要を教えて下さい。

藤野さん(神丘子ども会会長)
楽しんだのは、金魚すくいの網(ポイ)を頭につけて、それを水鉄砲で撃ち合う遊びです。8/18(日)に西山小学校の校庭で開催し、子どもから大人まで118名が参加しました。

118名!すごい人数ですね!!なぜ、このような行事を企画されたのでしょうか?

藤野さん
私の単子は会員がたった6名で、最初はこんなに大規模になるとは全く思っていませんでした
他の単子の前会長から、10名程度で開催した水鉄砲大会がとても楽しかったという話を聞いて、私もやりたいなと思っていました。会長1年目の昨年は余裕がなく今年度になって本格的に企画したのですが、やるならもう少しだけ人数が多い方が楽しいなと。そこで概要をまとめて、「こんなイベントをやるのですが、他の単子でも参加者を募っていいですか?」と、学区会長の戸田さんに相談したんです。そしたら、「楽しそうな行事だから、学区主催で実施したら?」と言ってもらって。

戸田さんとしては、どのような意図があったのでしょうか?

戸田さん(西山学区子ども会会長)
子ども会は年々減少の一途です。西山学区は児童数が約1100名のマンモス校ですが、現在の子ども会会員は約200名足らずで単子は10と、全盛期の半分程度。でも、地域とのつながりや子ども達の体験は大切だと思っているので、私としては単子を応援したいという想いがありました。
そのためには、今回の行事は学区主催の方が好都合だと思いました。学区主催なら学区の予算も使えるので会費は不要ですし、小学校を借りる場合にも学区は借りられるけど単子はNGなど、外部団体とも交渉しやすかったりするので。

会場交渉や開催時の影響力まで考えて、学区主催を提案されたのですね。

行事詳細はこちら(子ども会レポート㉟)


2.“ドラえもんのポケット”をもつキーマンと伴走して、「楽に」「楽しく」行事を作り上げる

開催までの具体的なプロセスを教えて下さい。

戸田さん
ゲーム内容は藤野さんが調整してくれ、私は主に会場調整を担いました。当初は近くの公園を想定していましたが、安全面から小学校にしました。過去の水鉄砲大会で怪我が発生した他学区の担当者にお話を伺ったところ、公園は段差があるため縦横無尽に走り回るととても危険だということが分かりました。そこで、段差がなく広いスペースが確保できる小学校にすることで、安全面を担保しました。
小学校を借りることで、テントや三角コーンなどの必要備品も借りられたので、開催までの準備も楽になりました。

綿密な情報収集をされていますね。提案者の藤野さんの視点からは、何がポイントだと感じましたか?

藤野さん
1つ目は、キーマンの学区会長である戸田さんに味方になってもらったことです。私は「やりたい」という想いと必要備品のイメージまではできますが、その入手には誰に・どのようにお願いすればいいかがわからない。でも、戸田さんは学区会長としての人脈と経験があるので、どんどんそれがクリアされます。まるで、「ドラえもんのポケット」です(笑)
2つ目は、戸田さんとの役割分担です。例えばオペレーション検討では、戸田さんは全体構想をして、私は実際に水鉄砲を体験して検証しました。備品準備では、ゲームの情報収集をしていた私が必要備品の洗い出しをして、人脈がある戸田さんが関係者から物を集めてくれました。それぞれの持ち味を、上手く活かしました。
3つ目は、私自身が楽しむことです。私が子ども会に入ったのは、インドア派の息子を外に連れ出す機会を作りたかったから。今回も、行事当日の息子の笑顔は勿論ですが、企画段階で2人で何度も水鉄砲の撃ち合いをして、びしょ濡れになって大笑いしたのもステキな夏休みの思い出になりました。そして、途中意見がぶつかったりすることもありましたが、戸田さんともとても仲良くなれました。雨降って、地固まるですね。

観戦する人達も、力が入ります
夏休みの後半、久々の再会を喜ぶ子ども達

3.「楽しさ」と同時に、「安全」は絶対に死守

当日はどのような形でゲームを進めましたか?

藤野さん
元々は、当初想定人数15名の内容を100名超で実施しようとして、かなりの長時間が見込まれました。ただ、真夏の昼間開催のため、長時間開催は熱中症リスクがあがります。安全に開催するために内容を大幅に見直して、午前中の2時間で完了するようにしました。

戸田さん
会場選びで重視した怪我防止だけでなく、当日の熱中症防止も最重要課題です。熱中症アラートが発信されたら行事は中止にすると、明言していました。

運営内容にもかなりカンやコツがありそうですね。

藤野さん
1番大切なのは、行事開催のゴールです。私としては優勝チームを決めるために総当たり戦をしたかったのですが、戸田さんとしては安全な開催を第一にということで、ここは2人で何度も調整しました。
その上で、私が実際に水鉄砲を使って息子とシミュレーションをして、体力的に試合時間2分が限界だとわかりました。当日は、参加者としての保護者は多数いたのですが運営サポートの人数が不足したので、アシストバンクの活動アシスタントに審判を依頼しました。この外部サポートは、とても助かりましたね。

事前の方針のすり合わせと準備、当日のオペレーション。幅広く、「安全」を軸に検討されたんですね。

未就学児には、涼しい場所で水鉄砲以外のお楽しみを準備
アシストバンクから派遣された活動アシスタントが審判を担当

4.当事者の「やってよかった」が子ども会行事の原点

一大行事を終えて、今の想いはいかがでしょうか?

藤野さん
まずは、やってよかったです。私1人ではとてもできないことを、戸田さんはじめ、多くの方の協力のもとで実現できた達成感は大きいです。普段は子ども会にあまり参加できないお父さんたちが、当日は子ども達以上に楽しんでいたのも印象的でした。
そしてこれができたのは、今というタイミングだったから。会長2年目で仕事に余裕ができたこと、誰がキーマンか分かっていたこと、そのキーマンが相談しやすかったこと。色々な要素が揃って、それを活かせたことが大きいです。

戸田さん
参加者の笑顔もですし、藤野さんのような熱意のある役員の方をサポートできたことが嬉しいです。子ども会の役員は、地域の人間関係ができたり、参加者の笑顔を見れたり、色々な点で自分たちが楽しいと思えることが第一です
もう1つ、やはり日々の人間関係は重要だなと。今回の行事では、多くの関係者が前向きに備品貸出などのサポートをしてくれましたが、これは普段の行事などでこちらが協力をしているからこそ。改めて、日々の関係構築が大事だと思いました。

小さい単子だから、前例がないから。できない理由をあげることなく、ここまで大きな行事を成功させたコツは、多くの子ども会関係者の参考になります。本日は、ありがとうございました!

童心に戻って、水鉄砲を楽しむお父さんたち
インタビューにご協力いただいた藤野さん(左)と戸田さん(右)