子どもも「楽しい」、保護者も「ムリがない」、地域も「嬉しい」――三方よしのコツ【守山区/はばたく子ども会】
守山区で、中学生以上を中心に活動している「はばたく子ども会」。子ども達にとっては“仲間と楽しく活動できる場”として、地域からは“行事の担い手”として、「なくてはならない存在」として親しまれています。発足以来、副会長として会を担ってきた伊藤さんと、子ども会メンバーの伊藤(愛美)さん・相田さん・高原さんに、運営や行事のポイントについて、お話を伺いました。
【保護者負担の軽減】
当日の行事参加は自由!参加したら、イキイキしている子ども達の姿を見られるという嬉しいポイントあり(以下1参照)
【活動内容の工夫】
子ども達の「これやりたい!」があるものを中心にする(以下2参照)
【広報活動の重点】
新メンバーの加入には、日常的に子ども達自身が楽しんでいる姿を見てもらうことが効果的 (以下3参照)
1.会長職でも面倒な作業対応は不要!会長含めた保護者全員が、「行事参加もムリない範囲でOK」
子ども会の立ち上げのきっかけを教えて下さい。
伊藤明美さん(はばたく子ども会副会長・学区子連会長)
子どもからの発信がきっかけです。7年前の中学1年生から、「小学生時代に仲間と楽しんできたディスクドッヂを、中学生になってもこの地域で続けたい!」と言ってきたんですね。活動内容はディスクドッヂ中心に据えつつも、活動内容以上に仲間と楽しく時間や場所を共有することを何よりも大切に、活動を続けてきました。今は6年目になりますが、中学生10人・高校生以上28人の計38人がメンバーです(2023年4月時点)。
子ども発信での立ち上げだったのですね!子ども会の運営では、保護者の役員負担がハードルになっているというお話を聞きますが、工夫されている点があれば教えて下さい。
伊藤明美さん
役員は、会長兼書記が1名、副会長兼会計が1名です。会の立ち上げ以来、ずっと私が副会長兼会計をやっています。
大切にしていることは2つあって、1つ目は組織としての透明性・中立性を確保すること。立ち上げたからには、できるだけ長く活動してほしいと思っています。実務は私が担う一方で、お金のチェックや大切な意思決定の時には一緒に対応してくれる存在として会長さんをおいています。私1人で全部やると、方向性が間違っている時もでてくるかもしれないので(笑)。皆さん、小学校時代の子ども会経験者なので、子ども会の感覚はお持ちで、立候補して対応いただきます。事務作業や行事の当日対応などの人手としてではなく、これまでの経験を活かした組織運営のサポーターになってほしいんです。
ノウハウをもった方が対応する良さと、透明性も維持されている点は素晴らしいですね!もう1つの工夫点はなんですか?
伊藤明美さん
2つ目は、保護者の皆さんの負担は最小限に、メリットは最大限にすること。書類作成や提出の実務は副会長の私が担いつつ、会長さん含めて保護者の行事参加は可能な範囲でと伝えています。中学生にもなると、移動手段と物の準備以外の当日運営は、自分達で大部分はできますので。全部お膳立てせずに、自分達でやらせてみることも重要です。ただ、行事運営の人数確保ではなく、お子さんの活躍する雄姿を見てあげてほしいという気持ちで、保護者の方を行事にお誘いすることはありますね。「家ではだらだらしている姿しか見てないけど、こんなにしっかりお手伝いしているなんてびっくりした!」と感激された保護者は沢山います。中高生は思春期真っただ中で家では中々大変な時もあるので、外の雄姿をみると、保護者だけでなくお子さん自身も(実は)ハッピーになるんですね。
子ども会の加入は、保護者の負担が理由で敬遠されるケースも多いようなので、無理がない範囲でOKと明言されているのはありがたいですね!そして、外の姿を見ることで親子ともにハッピーになるのは嬉しい!
2.「地域の手伝いは、やっている時は大変だけど、終わると達成感で一杯!」
具体的に、どんな行事をされているのか教えて下さい。
伊藤明美さん
大きく2つで、1つはディスクドッヂ。会発足のきっかけにもなった活動で、小学校の体育館などをお借りして月2~4回程度練習をし、練習試合・交流試合や公式戦にも出場しています。もう1つは、地域の学区行事のお手伝いで、盆踊り・学区運動会・公園清掃などがあります。こちらは会の発足当時は細々とした活動でしたが、育てていただき支えていただいている学区へ恩返ししようとの目的で、会を重ねるごとに参加する有志が増えてきました。今では「頼りになるね」と、お褒め頂けるまでになりました。
なるほど。せっかくなので、行事の当事者である皆さんから、活動内容に対する感想を聞かせて下さい。
相田菜々美さん(高校2年)
先日、盆踊りのお手伝いをしたのですが、今までは参加者として遊びに行く側だったのが、運営者として行事の裏側まで知れたことがよかったです。当日は予想よりも沢山の人が来てくれて、お客さんが多い時のオペレーションの工夫などをしました。
伊藤愛美さん(専門学校2年)
私は、ディスクドッヂの練習が好きです。学校が別れても、練習の場で会って会話できることが何よりも楽しいし、運動不足の解消や日々の生活の息抜きになります。学校の部活のような“勝ちに向かうがための厳しさ”もありますが、それを上回る楽しさ・居心地の良さがあります。
とっても前向きな意見ばかりですが、大変だなと思うことはないですか?
相田菜々美さん
実は・・・夏祭りでは、最初はどこまで高校生の自分の判断で動いていいのか戸惑いました。そして、人が多くて、行事の間は本当に大変でした。でも1日が無事に終わって家に帰ると、すごい達成感で。
伊藤愛美さん
わかる!私は今も、行事の最中は早く終わらないかなぁと思っちゃうことも多いけど、終わってみるとやってよかったって思うことばかり。
高原涼さん(高校1年)
正直言うと、僕は行事対応は大変さの方が大きいかも。でも、自分がやりたいディスクドッヂの練習で地域にはお世話になっているから、何か恩返しは必要だなと思ってやっている。
みんな、リアルな気持ちを教えてくれて、どうもありがとう!
3.当事者が楽しんでいる姿を見てもらうことが、最大の広報活動
とても充実した活動をされているはばたく子ども会さんですが、活動の広報などはどうされていますか?
伊藤明美さん
子ども会の中では連絡網があるので、そちらで告知しています。また、子ども会外では、学校でチラシを配布してもらったり、ポスターを掲示してもらったりすることが中心ですね。一番大きいのは、子ども達の口コミです。私から勧誘をお願いするまでもなく、子ども達自身が行事を楽しみにしていて、「楽しいから来てね!」と周囲に伝えてくれています。
では、新規メンバーの呼び込みなどでは、どのようにされていますか?
伊藤明美さん
学区内の小学校単子で、毎年2月にやっているお別れ会で入会の案内をしています。ただ、最も効果的なのは、対象の小学生にとって身近な中学生・高校生メンバーが活動している姿そのものです。行事で日々活動の様子を目にして、「行事で活躍していてかっこいい!」「あの楽しそうな活動、私もやりたい!」と思ってもらうことで、入会に結びついています。点としての告知活動ではなく、面として活動の様子を認知してもらうことが一番です。
その結果、年度によって多少の変動はありますが、学区内の子ども会の小学6年生の半分が、入会してくれています。
すごい入会率ですね!日々、活動の良さを目にする効果の大きさを感じる数字ですね。
伊藤明美さん
小学生の子どもたちの憧れの存在になっている現メンバーですが、子ども会自体の運営も徐々に担ってくれるようになっています。子ども達に無理のない範囲で、徐々に運営のバトンを渡して行ければとも思っています。
なるほど!小学生時代は地域に育ててもらい、中学生になったら自分達も楽しみつつ地域に恩返しを始めて、さらに大きくなったらその担い手になって。その時々で、順番に役割を発揮していくイメージですね。
本日は、ありがとうございました!