他子ども会の創意工夫事例

伝統と自らの想いを大切にしつつも、オープンマインドでいいものは取り入れる【守山区/守山区子連】

長い歴史をもちつつも、加盟学区の減少などから変革の必要性に直面した守山区子ども会育成連絡協議会(以下、守山区子連)。行事内容自体の見直しとともに効果をあげたのが、外部サポートの活用でした。区子連トップとして取組をリードしてきた会長の小屋口さんと、安全部長の谷口さんに、お話を伺いました。

保護者の負担軽減
役員減少で行事の負担増(下記1)
外部サポートの活用で存続が可能に(下記2)
活動内容の工夫
3つのアプローチで継続と改革を両立(下記3)


1.加盟学区の減少で、行事の負担感が増大

守山区子連の概要を教えて下さい。

小屋口さん(守山区子連会長)
守山区にある21学区のうち、6学区が区子連に加盟しています。一部の学区では児童数が急増していますが全体としては児童数は減少傾向にあり、加盟学区数も年々減少傾向です。

区子連としては、どのような年間行事がありますか?

小屋口さん
1つ目は5月頃に実施している安全教育研修会です。指導者・育成者を対象に、行事実施における危険を予知し、その対策について学びます。これは、危険予知トレーニング、K・Y・Tと言われています。行事開催の際には内容の魅力ばかりに目が行きがちですが、安全確保が大前提です。普段見落としがちな安全について、まとまって学べる場として好評です。
2つ目は、年少リーダー講習会。6年生で子ども会のリーダーになることを目指している5年生の希望者が対象で、春の開講式から始まり、キャンプ説明会にキャンプ本番、キャンドルサービスを経て年度末の閉講式まで、全5回のプログラムがあります。開講式ではあどけなかった子ども達も、色々な経験を積む中で閉校式ではすっかり逞しくなります。
3つ目は行事ごとに希望者が参加するもので、オリエンテーリング大会や綱引大会などがあります。

大人向けから子ども向けまで、1年を通じて幅広い行事があるんですね!

小屋口さん
そうなんです。加盟学区の減少は、そのまま区子連役員数の減少となります。その結果、行事の負担がどんどん重くなってくるという悩みがありまして・・・。

年少リーダー講習会のキャンプは、子ども達にとって忘れられない思い出に
綱引大会は、守山区スポーツセンターで大規模に開催

2.極限まで切り詰めて諦めかけた行事が、外部サポートで存続できた

先ほどご紹介いただいた行事の1つであるオリエンテーリング大会について、歴史と目的を教えて下さい。

小屋口さん
30年以上の歴史があるので、いつ・何のために始まったか定かではなくて・・・。ですので、今の私たちが考えている目的をお伝えしますね。1つは、区内の素敵な場所を子ども達に知ってほしいということ。会場である愛知県森林公園は名古屋市守山区と尾張旭市にまたがる広大な公園で、植物園・運動公園に加えて、乗馬・テニス・野球なども楽しめます。イノシシ・サル・タヌキなども出没する、名実ともに自然豊かな場所。そんな所が区内にあるなんてとてもラッキーなので、故郷として是非味わってほしいんです。
もう1つは、チームワークや思いやりの醸成です。オリエンテーリングは、脱落者NGで、ポイントをメンバー全員で回り、ポイントで見つけた文字の数とゴールタイムで勝敗が決まるルールになっています。地図を見る人・時間をチェックする人・スコアを記録する人などの役割分担と、脱落者を出さずなるべく早くゴールできるよう、ペース配分を計る。遅れがちなメンバーを気づかう思いやりと、それぞれの得意を発揮するチームワークを学んでいくのです。

なるほど!贅沢な会場を舞台にした、とても楽しそうな行事ですね。でも、この行事でも、さきほどの負担増は避けて通れないのではないでしょうか。

谷口さん(守山区子連安全部長)
そうなんです。区子連の役員が減ったことで当日スタッフが減り、従来と同じポイント数を維持できなくなったんです。20あったポイントを16に減らしても当日スタッフはギリギリで、これ以上減らしたしたら行事の質を担保できないという水準になってきたので、困り果ててアシストバンクさんに当日の対応人材を依頼しました。

実際に外部の人にお手伝いしてもらった感想はいかがですか?

小屋口さん
本当は諦めていたようなことを実施できたことが、何よりもうれしいです。スタッフの数も、行事のやり方も、内部で考えられる限界までやっていたので、外部サポートがないと存続を諦めていたかもしれません。

自然あふれる会場で、チームワークと思いやりを学んだ1日
アシストバンクから派遣された活動アシスタントが「動く」スポットとして大活躍

行事詳細はこちら(子ども会レポート⑳)


3.ポイントは、足元の行事を軸にした2つのアプローチと、長期を見据えた1つのアプローチ

区子連として、今後の活動に向けた想いをお聞かせください。

小屋口さん
少子化のご時世なので、子どもが減っていくのはある程度は仕方がないです。その中でも子ども会を存続させていくために、3つの軸でのアプローチが大切だと思っています。
1つ目は、今の内容に拘らず、よいとおもった内容に行事などを刷新していくこと。例えば綱引大会も、10年ちょっと前まではソフトボール大会でした。でも、学区内で人数を揃えるのが難しい・(ソフトボール大会に参加できない)低学年も楽しめる行事があるといいなという声が聞こえてきたので、チームが柔軟に組めて低学年も参加できる綱引大会に変えました。問題が発生したら目を背けない、新たなアイデアを出すために常に情報収集しておくことが大事ですね。アシストバンクさんも、よい行事の取組があったら、是非教えて下さい!
2つ目は、今の行事でいい場合は、継続のために工夫をしつづけること。外部人材についても、当日運営人員としてのサポートにとどまっているので、もっと楽に・楽しくやるための工夫などもアイデアをもらえればいいなと思っています。同じメンバーだと思考に限界があるので、常にオープンマインドが大事ですね

役員歴が長くなると、ノウハウや人脈はレベルアップしますが、内容ややり方を「変化」させることは難しくなりがちですよね。

小屋口さん
そうなんです。少しカラーが違いますが、3つ目は活動自体のメリットを伝え続けることです。即効性はないので地道な活動ですね。具体的には、毎年2回、春と夏の夜に、区役所の駐車場で天体望遠鏡を使った「星の観察会」を実施しています。教えてくれる先生は直接の子ども会関係者ではないので、ある意味外部サポーターの活躍ともいえますね。土星の輪っかがはっきり見えるような本格的な望遠鏡とあってリピーターが多く、新規の方も口コミで集まってきた方がほとんど。本当は大々的に広報してもっと楽しむ人を増やしたいのですが、事故等の心配もあり、これ以上の規模は厳しくて。でも、楽しい活動を通じて地域のつながりの良さを感じてもらい、ひいては、単子・学区の子ども会や区子連加盟のメリットを感じてもらえればなと思っています。

3つのアプローチは、区子連の活動だけではなく、学区や単子の取組でも重要なポイントですね。本日は貴重なお話を、ありがとうございました!

3つの観点から子ども会の興隆にアプローチ
インタビューにご協力いただいた小屋口さん(左)と谷口さん(右)