現場ウォッチ

「体験活動が子どもの成長にどう影響を与えるの!?」文部科学省の調査研究から考察!子ども会の意義とは

【小学生の頃の体験活動が大切!文科省の調査によって明らかに。】

 小学生の頃に自然体験や社会体験など体験活動の機会に恵まれた子どもは、家庭の経済状況に左右されることなく、高校生の頃の自尊感情などが高くなる傾向が見られることが、文部科学省の調査で分かりました。

※この調査では、2001年に出生した子どもとその保護者を18年間にわたり追跡した「21世紀出生児縦断調査」のデータを基に、 体験活動が成長に及ぼす影響を分析しています。

【体験活動をしながら育った子どもは、このような力が向上した!】

① 自尊感情… 自分に対して肯定的な感情
② 外向性… 自分を活発だと思う
③ 向学的な意識… 勉強・授業が楽しい
④ 精神的回復力… 新しいものを追求する性質、感情調整、肯定的な未来志向

≪調査結果≫

・自然体験(キャンプや登山など)が多い子どもは、自尊感情や外向性が高い
・社会体験(農業体験、ボランティアなど)が多い子どもは、向学的な意識が高い
・文化的体験(動植物園見学、音楽、演劇鑑賞など)が多い子どもは、向学的な意識、自尊感情、外向性、精神的回復力、心の健康の全てが高くなるという結果が得られました。

 また、異年齢の子どもや家族以外の大人など、多様な相手と遊ぶ機会が多いほど、自尊感情や外向性などに良い影響が見られることも分かりました。
(出典:21世紀出生児縦断調査(平成22年))

【文部科学省でも、子どもの体験活動の重要性や効果を提唱。】

文部科学省では、体験活動の教育的意義として下記のことを伝えています。

≪体験活動の教育的意義≫

・体験活動は「豊かな人間性」や「自ら学び、自ら考える力」などの『生きる力』の基盤や、子どもの成長の糧となる。
・体験活動が思考や実践の出発点や基盤となる。
・思考や知識を働かせ、実践して、「よりよい生活」を創り出していくために体験が必要である。

↑これからの学校教育で目指す『生きる力』(出展:文部科学省ホームページ)。

≪体験活動が成長におよぼす効果≫

① 現実の世界や生活などへの興味・関心、意欲の向上
② 問題発見や問題解決能力の育成
③ 思考や理解の基盤づくり
④ 教科等の「知識」が総合的に活用でき、体験を通して実践ができる
⑤ 自己との出会い
⑥ 成就感や自尊感情の獲得
⑦ 社会性や共に生きる力の育成
⑧ 豊かな人間性や価値観の形成
⑨ 基礎的な体力や心身の健康の保持増進

(出典:文部科学省 体験活動の教育的意義 平成17、18年度 豊かな体験活動推進事業より)

【子どもの成長には多様な体験が必要!子ども会の役割、効果とは?!】

 このように、子どもの成長には多様な体験が必要であり、家庭や地域、学校が協力して、子どもの体験活動を支える環境づくりを進めていくことが大切であることがわかります。
子ども会もその体験の場の一つであると言えるでしょう。

 『子ども会は、地域を基盤とした異年齢の集団による、“遊び”を中心とした様々な“豊かな体験”活動を通して、子どもたちの健やかな成長発達を促すとともに、「子どもの夢」と「生きる力」を育む活動集団である』
と定義されています。

 地域の自然、歴史、文化や様々な地域の人々とのふれあいの中で社会性を身につけ、異年齢の集団の中で楽しさや喜びを分かち合うことなどにより、豊かな人間性を築き、体験活動を通して自主性を育むことができる効果が期待されます。

【日常にある身の回りの体験でいい!まずは大人が楽しもう!!】

 体験というと、「特別なもの」と考える方もいらっしゃるかと思いますが、日常の身の回りにある環境に目を向けてみるだけでもいいと思います。
普段何気なく過ごしている公園にも、よく見ればいろんな草花や生き物がいて、小さなものを探して面白がることこそ、子どもにとって大切な体験だと思います。
 身の回りの面白いことを見つけては子どもに紹介したり、感じたことを表現したりしてみることも大切です。
例えば、散歩道で、季節の草花や虫を見つけて、「面白い形の葉っぱだね」と素直な感想を子どもたちと言い合ってみたり、どんどん形を変えていく雲を見ては「綿あめみたいでおいしそう」と言ってみたり、「なんで動くんだろうね」と不思議を伝えたり。
 大人が楽しんでいるのを見ている子どもは「面白そう!」と感じ、やってみたくなるものです。それが、子どもの活動を広げる原動力になります。
まずは大人から楽しむことを意識していきましょう。大人も楽しめる「アシストバンク」のイベントを集めていきますので、是非ご活用ください!